ロシアW杯総論
安心して欲しい。
今回の記事は私によるW杯談義ではなく、「ロシアW杯総論」(著者:木村浩嗣)という書籍に関する感想に関してだ。
年に150冊ほど読破する”そこそこ”な読書家なので、今後も定期的に書籍レビュー記事を書こうかと思う。(誰得なのかは定かでない)
サッカー好きの私にとって、この書籍はロシアW杯を回想するに際してベストなものだった。
(※ちなみに、私はサッカー経験歴0年、サッカー観戦歴15年のミーハー男)
サッカー雑誌「Footballista フットボリスタ」編集長を務めた経歴を持つ木村浩嗣の視点から、ロシアW杯に関して斬新な考察がなされていたため、全く飽きを感じさせない本だった。
↑Numberに数多くの名記事が掲載されている
この本において焦点となっているのは、今大会の特徴&傾向・各代表チームの戦術メカニズム・各代表監督のインサイト(本音)などである。このように書くと、他のサッカー書籍と良い意味でも悪い意味でも遜色ないように思える。だが、心配ない。W杯64試合すべてを見た著者だからこそ辿り着いた数多くの”発見”と”真理”が、我々読者の関心を刺激し続ける。
以下にこの本の面白いポイントを3点挙げる。
①臨場感
著者は、W杯64試合全てについて漏れなく書き記している。64試合全てだ。無礼なことを言うが、グループG第3戦 パナマ対チュニジアのような”クソほどどうでもいい”試合に関しても若干考察がなされている。この私の記事を訪れた人の中で、パナマ対チュニジアを見た人がどれだけいるだろうか?余談だが、サッカ情熱国スペインでは、パナマ対チュニジア戦が唯一テレビ中継されなかったらしい。64試合全てを観戦した著者だからこそ気づくであろう発見や視点に基づいて各試合のレポートが記されているので、まるでその試合を追体験しているような感覚で読み進めることができる。W杯の余韻に浸かり切りたい人には、やはりオススメの本だ。
②達観視
とにかく著者の視点が斬新で深い。勝ち負けや監督の采配、一つのプレーなどの裏に隠されている原因や真理を紐解こうとする著者の姿勢が、この本を通して常に感じられる。私のような初心者からは、「韓国がドイツに勝っただと?審判買収か?」や「ベルギーのカウンター、ジャックナイフのように鋭かった!日本、しゃあないな。」のような月並みな感想しか生まれないが、この著者は1)イランやアイスランド、スウェーデンのような小国が躍進した要因 2)スペインのパスサッカーがロシアに封殺された真の理由 3)日本が今後目指すべき姿 の主に3点に関してかなりクリティカルな意見が展開されている。特に、イランのようなアジア諸国が技術や体格のハンデを背負いながらもW杯で勝つにはなにが大切なのかに関しての考察が俊逸だった。マスメディアのサッカー報道に辟易している人々にとってもbetterな本であると言える。
③簡潔さ
207
カンボジアのFIFAランキングではなく、この書籍の総ページ数だ。「ページ数が少ないので読みやすいです!」という安直なことを言いたいのではなく、207ページ中全207ページに余すことなく我々のツボを刺激するような名文が敷き詰められているので、あっという間にこの書籍が読破できてしまう。社会人1年目で仕事に忙殺されている私の同年代にも、「ぜひ通勤時間に!日経新聞の1985倍面白いはず!」とオススメしたい。サッカー通の人、今回のW杯からサッカーに興味を持った初心者にも薦められる良本であることは間違いない。
さて、ここら辺で”我流、書籍review”第一回は閉店とさせて頂くが、最後に「私的!ロシアW杯ベストゲーム&ベストゴール」を発表する。「私は、あなた方と違って目線が高いのです。どう、このベストゲーム&ベストゴール選定イケてるでしょ?」とドヤ顔を振りまきながら発表するつもりはなく、極めて”普通”な発表をさせて頂く。
ベストゲーム
グループD第二戦 アルゼンチン対クロアチア
ワールドカップ アルゼンチンvsクロアチア 0‐3 World Cup Argentina vs Croatia
・綺麗すぎる、カバジェロのミス
ベストゴール
決勝トーナメント1回戦 フランス対アルゼンチン ディ・マリアのミドル
・前半終了間際というベストタイミング
・トラップしてから一振りするまでのスムーズさがエロい